歯磨きしても、マスクを外しても口臭が気になる——一人で悩んでいませんか?
人と話すのが怖い…自信を持てない口臭の悩み
口臭は、ご自身が感じる以上に、他者とのコミュニケーションにおいて大きな心理的負担となることがあります。「しっかり歯を磨いているはずなのに、なぜか口の臭いが気になる」「会話中に相手が顔をしかめたように感じて、それ以来、至近距離で話すのが怖い」といった経験はないでしょうか。特に、マスク着用が個人の判断となり、対面での会話が増えた今、これまで以上に口臭への意識が高まっている方も少なくありません。このようなお悩みは、自信の喪失につながり、仕事やプライベートな人間関係にも影響を及ぼす可能性がある、非常にデリケートな問題です。口臭は単なるエチケットの問題ではなく、時としてQOL(生活の質)を大きく左右します。一人で抱え込まず、まずはそのお悩みの原因を専門家と一緒に探っていくことが、解決への第一歩となります。
タブレットやマウスウォッシュはその場しのぎ?根本的な解決をしたい方へ
口臭が気になった時、多くの方がまず試されるのが、市販のタブレットや口臭ケアを謳うマウスウォッシュではないでしょうか。ミントの香りで一時的に不快な臭いをマスキング(覆い隠す)してくれるため、緊急対策としては有効な場面もあります。しかし、これらはあくまで対症療法であり、臭いの根本的な原因を取り除いているわけではありません。そのため、効果は長続きせず、しばらくすると再び口臭が発生してしまいます。もし、口臭の原因が歯周病などの歯科疾患に由来する場合、マスキングを続けている間に病状が静かに進行してしまうリスクも考えられます。本当に口臭の悩みから解放されるためには、その場しのぎの対策を繰り返すのではなく、「なぜ口臭が発生しているのか」という根本原因を正確に突き止め、それに対する適切な治療やアプローチを行うことが不可欠です。
その口臭、「治らない」ではなく「原因」が違うのかもしれません
セルフケアを徹底しても口臭が改善しない場合、「自分の口臭はもう治らないのではないか」と諦めてしまう方もいらっしゃいます。しかし、その口臭は、ご自身が考えている原因とは別のところに潜んでいる可能性が高いのです。口臭の原因は多くがお口の中に由来すると報告されています(およそ8〜9割とされる研究もあります)。その中でも最も多い原因の一つが、歯周病です。歯周病菌は、タンパク質を分解する過程で、特有の腐敗臭(揮発性硫黄化合物)を発生させます。これは、歯ブラシが届きにくい歯ぐきの深い溝(歯周ポケット)の奥で発生しやすいため、セルフケアだけでは改善が難しいことがあります。その他にも、大きなむし歯、舌の表面に付着した細菌の塊である「舌苔(ぜったい)」、唾液の減少(ドライマウス)、不適合な被せ物なども原因となり得ます。また、稀に副鼻腔炎や消化器系、呼吸器系の疾患といった全身の病気が原因の場合もあります。諦める前に、まずは専門的な診査を通じて、本当の原因を特定することが重要です。
口臭の正体とは?「生理的口臭」と「病的口臭」の違い
誰にでもある、朝起きた時や空腹時の口臭(生理的口臭)
「口臭」と聞くと、何か特別な原因があるように思われるかもしれませんが、実は誰にでも起こりうる「生理的口臭」というものがあります。これは病気が原因ではなく、主に唾液の分泌量が関わる自然な現象です。例えば、起床時の口臭が代表的です。睡眠中は唾液の分泌が大幅に減少し、お口の中の細菌が活発に増殖します。この細菌が食べかすや剥がれた粘膜のタンパク質を分解する際に、臭いの元となるガス(揮発性硫黄化合物)を発生させるのです。同様に、空腹時や緊張時にも唾液の分泌は抑制されるため、口臭を感じやすくなります。生理的口臭は、歯磨きや食事、水分補給などによって唾液の分泌が促されると自然に弱まるのが特徴です。過度に心配する必要はありませんが、日々の口腔ケアの重要性を示唆しているともいえます。
問題なのは、常に周囲を不快にさせる可能性のある「病的口臭」
生理的口臭が一過性であるのに対し、時間帯にかかわらず持続し、周囲の人を不快にさせてしまう可能性があるのが「病的口臭」です。その名の通り、何らかの病気が原因で発生する口臭であり、体の異常を知らせる重要なサインと捉えるべきです。この病的口臭の最大の原因として挙げられるのが歯周病です。歯周病が進行すると、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)が深くなり、そこが細菌の温床となります。歯周病菌は特有の強い臭いを放つため、セルフケアだけでは口臭が治らないと感じるケースが多く見られます。その他にも、進行したむし歯、舌の表面の汚れである舌苔(ぜったい)、清掃不良の入れ歯なども原因となります。病的口臭が疑われる場合は、早めの原因評価と適切な治療が勧められます。
口臭の原因の約9割は、お口の中にあります
口臭で悩まれる方の中には、胃腸の不調などを心配される方もいらっしゃいますが、実は口臭の原因の約90%は、歯周病やむし歯といったお口の中のトラブルに由来することが分かっています。特に注意が必要なのが、自覚症状なく進行することも多い歯周病です。歯周病菌が産生するメチルメルカプタンというガスは「玉ねぎが腐ったような臭い」と表現され、ごく微量でも強い悪臭として感知されます。また、進行したむし歯に食べかすが詰まり、中で腐敗して臭いを放つケースや、舌の表面に付着した細菌の塊「舌苔」が主な原因となることもあります。つまり、口臭を根本的に改善するためには、まず歯科医院で口腔内を専門的にチェックし、原因を特定することが有効性が高いとされるアプローチの一つです。原因のほとんどがお口の中にあるからこそ、私たち歯科の専門家がお力になれる可能性が高いと言えます。
セルフケアで治らない口臭、最大の原因は「歯周病」
歯周ポケットから発生する「メチルメルカプタン」という腐敗臭ガス
ご自身の口臭がセルフケアをしても治らないと感じる場合、その臭いの正体は「揮発性硫黄化合物(VSC)」と呼ばれるガスである可能性が非常に高いです。中でも、歯周病と特に深い関わりを持つのが「メチルメルカプタン」という種類のガスです。これは、歯と歯茎の溝である「歯周ポケット」の奥深くに潜む歯周病菌が、食べかすや剥がれ落ちたお口の粘膜などに含まれるタンパク質を分解する過程で産生されます。メチルメルカプタンは「玉ねぎが腐ったような臭い」と形容されるほどの強烈な悪臭を放ち、少量でも人が不快に感じるのが特徴です。歯ブラシの毛先が届かない歯周ポケットの奥で発生するため、毎日の歯磨きだけでは原因菌も臭いの元も除去しきれず、持続的な口臭につながってしまうのです。
膿や血液が混ざり合う、歯周病特有の不快な臭いとは
歯周病が進行すると、口臭はさらに複雑で不快なものへと変化します。これは、歯周病の症状として現れる「膿」と「血液」が、前述のメチルメルカプタンの臭いと混ざり合うためです。歯周組織で歯周病菌と体の免疫細胞が戦った結果、その残骸として「膿」が歯周ポケットに溜まることがあります。この膿自体が特有の臭気を放ちます。さらに、炎症を起こした歯茎は非常にデリケートな状態になっており、歯磨きなどのわずかな刺激でも出血しやすくなります。血液に含まれるヘモグロビンが分解される際に生じる、鉄が錆びたような生臭さも口臭の要因となります。これらの腐敗臭や膿の臭い、血液の生臭さが複合的に絡み合うことで、ご自身でも明らかに異常と感じるような、歯周病特有の口臭が形成されるのです。
歯周病が進行するほど口臭は強くなるという事実
歯周病が進行するほど口臭が強くなる傾向が報告されています。個人差はありますが、進行に伴い口臭が悪化することがあります。歯茎にのみ炎症が起きている初期段階の「歯肉炎」では、口臭はほとんど気にならないかもしれません。しかし、炎症が歯を支える骨(歯槽骨)にまで及び「歯周炎」へと進行すると、歯周ポケットは徐々に深くなっていきます。歯周ポケットが深くなるほど、内部は酸素が少ない環境となり、口臭の原因となる歯周病菌が繁殖しやすくなります。歯周病が進行すると、口臭が周囲にも気づかれやすい程度に強くなることがあります。もし「以前より口臭が強くなった」と感じるなら、それは歯周病が静かに悪化している危険なサインかもしれないのです。
歯周病以外にも?お口の中に潜む、その他の口臭の原因
舌の上の白い苔「舌苔(ぜったい)」に潜む細菌
鏡で舌を見てみたとき、表面が白っぽくなっていることはありませんか。これは「舌苔(ぜったい)」と呼ばれるもので、歯周病と並んで口臭の大きな原因となり得ます。舌の表面にある細かい凹凸には、食べかすや剥がれた粘膜、そして多数の細菌が付着しやすく、これらが蓄積して苔状になったものが舌苔の正体です。この舌苔は、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物を産生する細菌の格好の住処となります。特に、清掃が行き届きにくい舌の奥の方に厚く付着する傾向があります。歯周病の治療を進めてもなかなか口臭が治らないという場合、この舌苔が原因として残っているケースも少なくありません。ただし、舌は非常にデリケートな組織ですので、歯ブラシで強く擦るのは禁物です。舌専用のクリーナーなどを用いて、優しく清掃することが重要です。
食べかすが詰まった、大きな虫歯や不適合な被せ物
大きく進行して穴が空いてしまった虫歯も、強い口臭の原因となります。その穴の中に食べかすが詰まり、細菌がそれを分解・腐敗させることで、直接的な腐敗臭が発生するのです。場合によっては、歯の神経が死んでしまい、内部で腐敗することで、さらに強烈な臭いを放つこともあります。また、過去に治療した被せ物や詰め物が、口臭の発生源になっているケースも珍しくありません。時間の経過とともに劣化したり、そもそも歯との間にわずかな隙間や段差があったりすると、その部分に歯垢(プラーク)が溜まりやすくなります。この隙間は歯ブラシでは清掃が困難なため、細菌が繁殖し、虫歯の再発(二次カリエス)や歯茎の炎症を引き起こし、口臭の原因となります。これらの構造的な問題はセルフケアでは改善しにくいため、歯科での治療が検討されます。
唾液の減少(ドライマウス)が招く、細菌の増殖と口臭の悪化
唾液には、お口の中を洗い流す「自浄作用」や、細菌の活動を抑制する「抗菌作用」など、口腔環境を健康に保つための重要な働きがあります。しかし、加齢や薬の副作用、ストレス、口呼吸など、様々な要因で唾液の分泌量が減少することがあります。この状態を「ドライマウス(口腔乾燥症)」と呼びます。お口の中が乾燥すると、唾液による自浄作用が低下し、食べかすや細菌が洗い流されにくくなります。さらに、抗菌作用も弱まるため、口臭の原因菌を含む細菌全体が増殖しやすい環境となってしまいます。その結果、口臭が強くなるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクも高まるという悪循環に陥ります。お口の渇きやネバつきを頻繁に感じる方は、ドライマウスが口臭を悪化させている可能性があり、専門家による原因の特定と対策が望まれます。
稀なケースですが…内臓の不調が原因となる口臭も
鼻や喉の病気(副鼻腔炎・扁桃炎など)との関連
口臭の原因のほとんどはお口の中にありますが、歯科的な治療、例えば歯周病ケアを徹底しても口臭が治らない場合、鼻や喉の病気が隠れている可能性も考えられます。代表的なのが、鼻の奥にある空洞で炎症が起こり膿が溜まる「副鼻腔炎(蓄膿症)」です。この膿が喉の方へ流れ落ちる「後鼻漏(こうびろう)」という状態になると、膿そのものの臭いや、膿に含まれるタンパク質を細菌が分解した際の臭気が口臭として感じられます。また、喉にある扁桃の小さなくぼみに細菌や食べかすの塊(膿栓、通称:臭い玉)が溜まる「慢性扁桃炎」も、強い口臭の原因となります。これらの疾患は耳鼻咽喉科の領域となるため、歯科医院での診査の結果、疑いがある場合には専門医への受診をお勧めすることがあります。
消化器系の病気(逆流性食道炎など)による口臭
頻度は高くありませんが、消化器系など全身の疾患が口臭に関与する場合もあります。その一つが、胃酸や食べ物が食道へ逆流する「逆流性食道炎」です。この場合、胃の内容物が直接臭うため、酸っぱいような独特の口臭が特徴となります。お口の中で発生する腐敗臭とは臭いの種類が異なります。その他、胃や腸の機能が低下し、消化不良によって腸内で異常な発酵が起こると、そこで発生した臭い物質が血液中に吸収され、肺を通して呼気として排出されることがあります。お口の中をどれだけ清潔にしても改善しない口臭は、こういった内科的な問題が背景にある可能性も否定できません。ただし、これらが原因である頻度は高くなく、まずは口腔内の問題を解決することが口臭治療の基本となります。
糖尿病に特有の「アセトン臭」とは
全身疾患が原因となる口臭の中で、特に注意が必要なのが糖尿病に由来するものです。糖尿病の病状が進行し、血糖のコントロールが著しく悪化すると、「ケトアシドーシス」という危険な状態に陥ることがあります。このとき、体内で「ケトン体」という物質が過剰に作られ、その一種であるアセトンが呼気に混じって排出されます。これが、糖尿病特有の「アセトン臭」と呼ばれる口臭で、甘酸っぱい、熟した果物や除光液のような臭いがすると言われています。このアセトン臭は、歯周病などが原因の口臭とは明らかに異質であり、単なるお口のトラブルでは片付けられない、体からの危険信号です。このような特有の臭いが続く場合は、早めに医療機関へ相談してください。
口臭の根本原因を断つ。 歯科医院で行う専門的なアプローチ
悪臭の発生源、歯周ポケットの徹底的なクリーニング
セルフケアでは口臭が治らないと感じる最大の理由は、臭いの発生源である「歯周ポケット」の奥深くに、ご自身の歯ブラシが届いていないためです。歯周病によって形成されたこの深い溝には、歯垢(プラーク)や歯石が固着し、口臭の原因菌である歯周病菌の温床となっています。歯科医院で行う専門的なクリーニングでは、「スケーラー」と呼ばれる専用の器具を用いて、歯の表面はもちろん、歯周ポケットの奥深くにこびり付いた歯石や、細菌の集合体である細菌の膜(バイオフィルム)を専門器具で除去します。この処置により、悪臭の根本原因を直接取り除くことが可能となります。これは、歯科医師や歯科衛生士だからこそできる専門的なアプローチであり、口臭改善への最も重要なステップです。
舌苔の除去と、正しいセルフケアの習得(ブラッシング指導)
歯周ポケットのクリーニングと並行して、口臭のもう一つの大きな原因である「舌苔(ぜったい)」へのアプローチも重要です。歯科医院では、必要に応じて専用の器具で舌を傷つけないよう安全に清掃するとともに、ご自宅での正しい舌ケアの方法についても具体的に指導します。さらに、口臭治療の効果を維持し、再発を防ぐためには、日々のセルフケアの質を向上させることが不可欠です。私たちは、患者様一人ひとりのお口の状態や歯並びに合わせ、最適な歯ブラシの選択、正しい当て方や動かし方、デンタルフロスや歯間ブラシといった補助的清掃用具の効果的な使い方などを丁寧にレクチャーします(ブラッシング指導)。これにより、治療後の良好な状態をご自身で長く保つことができるようになります。
口臭測定器を用いた、客観的な効果測定
口臭はご自身では分かりにくく、また感覚的な側面が大きいため、「本当に臭いが改善したのか」と不安に思われる方も少なくありません。そこで多くの歯科医院では、「口臭測定器」を用いて口臭の強さを客観的な数値として測定し、治療効果の「見える化」を行っています。この装置は、口臭の主な原因物質である揮発性硫黄化合物の濃度をppb(10億分の1)という非常に細かい単位で検出できます。治療の前後で数値を比較することで、どの程度口臭が改善されたかを客観的なデータでご確認いただけるため、安心して治療を進めることができます。また、この客観的な指標は、治療計画を立てる上でも極めて重要な情報となり、より精度の高い口臭治療へと繋がります。
本気で口臭を治したいあなたのための、歯科医院の選び方
「口臭外来」の設置や、歯周病治療を専門的に行っているか
口臭は非常に多角的なアプローチが求められる症状です。そのため、本気で改善を目指すなら、「口臭治療」に力を入れている歯科医院を選ぶことが重要です。「口臭外来」を標榜している医院は、口臭の原因究明から治療、カウンセリングに至るまで、体系的なノウハウと経験を有している場合が多いでしょう。また、病的口臭の最大の原因は歯周病であるため、その医院が歯周病治療を得意としているか、専門的な知識や技術を持つ歯科医師・歯科衛生士が在籍しているかも大きな判断基準となります。これまでセルフケアや一般的な歯科治療では口臭が治らないと感じていた方ほど、こうした専門性の高い医療機関を選択することが、根本解決への近道となります。
原因を特定するための精密な検査機器(口臭測定器など)があるか
的確な口臭治療は、的確な診断から始まります。感覚だけに頼るのではなく、科学的根拠に基づいた客観的な検査を行える設備が整っているかは、信頼できる歯科医院を見分けるための重要なポイントです。特に、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物の濃度を数値で測定できる「口臭測定器」を導入しているかは、一つの目安となるでしょう。その他にも、歯周病の進行度を把握するための精密な歯周ポケット検査やレントゲン撮影、唾液の量や質を調べる唾液検査など、原因を多角的に特定するための検査体制が充実していることが望まれます。こうした精密検査によって初めて、あなたの口臭の本当の原因が明らかになり、検査結果を踏まえ、適切な治療計画の立案がしやすくなります。
プライバシーに配慮した、カウンセリングを重視する姿勢があるか
口臭のお悩みは、ご家族や親しい友人にも打ち明けにくい、非常にデリケートな問題です。そのため、治療を進める上で、患者様の心情に寄り添う姿勢と、プライバシーが守られる環境が不可欠です。診療台で他の患者様に聞こえるような状況ではなく、個室のカウンセリングルームなどが完備されている歯科医院であれば、安心して悩みを相談できるでしょう。また、ただ検査や治療を行うだけでなく、患者様がこれまでどのようなことで悩んできたのか、どのような生活習慣があるのかなどをじっくりとヒアリングする「カウンセリング」の時間を重視しているかも大切なポイントです。信頼関係に基づいた丁寧なコミュニケーションこそが、長年抱えてきた口臭の悩みを解消し、真の安心感を得るために必要不可欠です。
【FAQ】治らない口臭に関するよくあるご質問
Q. 舌磨きは、やりすぎると逆効果になりますか?
A. はい、その可能性があります。舌の表面にある白い苔「舌苔(ぜったい)」は口臭の主な原因の一つであり、適切に清掃することは口臭予防に有効です。しかし、舌の粘膜は非常にデリケートな組織です。硬い歯ブラシでゴシゴシと強く磨いたり、一日に何度も磨いたりすると、舌の表面にある味を感じるための味蕾(みらい)という組織を傷つけてしまう恐れがあります。これが味覚障害や舌のヒリヒリとした痛みを引き起こすだけでなく、傷ついた粘膜に細菌が入り込み、かえって口臭を悪化させる原因にもなりかねません。舌の清掃は、舌専用のクリーナーや柔らかい歯ブラシを使い、奥から手前に優しくなでるように、一日一回(朝の起床時がお勧めです)を目安に行ってください。
Q. マウスウォッシュの選び方と、正しい使い方を教えてください
A. マウスウォッシュには、香りで口臭を一時的にマスキングする「洗口液」と、有効成分によって口内細菌の殺菌や増殖抑制の効果が期待できる液体歯みがき(ブラッシング用洗口剤)があります。歯周病などが原因のしつこい口臭には、後者のタイプが適しています。選ぶ際は、殺菌成分(CPC:塩化セチルピリジニウムなど)が含まれているかを確認し、唾液の分泌を妨げないようアルコール含有率の低いものやノンアルコールタイプを選ぶと良いでしょう。正しい使い方は、歯磨きで物理的な汚れを落とした後の仕上げとして使用することです。適量を口に含み、20〜30秒ほどお口全体に行き渡らせてから吐き出します。使用後すぐに水でうがをすると有効成分が流れてしまうため、お控えください。ただし、これらはあくまで補助的なケアであり、根本原因の治療なくして口臭は治らないということをご理解ください。
Q. 家族に口臭を指摘されたら、まず何をしたら良いですか?
A. ご家族から口臭を指摘されると、ショックを受けたり、不安に思われたりすることでしょう。しかし、最も身近な方からの指摘は、ご自身の健康状態を知る大切なきっかけになります。まず行っていただきたいのは、慌てて強い香りのタブレットやマウスウォッシュでごまかすことではなく、「歯科医院を受診する」ことです。持続的な口臭の原因の約9割は、歯周病やむし歯といったお口の中にあります。専門家である歯科医師が診査すれば、その原因はほとんどの場合特定できます。口臭は、ご自身では気づきにくいお口のトラブルや、時には全身の不調を知らせるサインでもあります。勇気を出して専門家へ相談することが、遠回りを避けるための有効な一歩になります。
Q. 自分の口臭は、自分ではなかなか気づけないものですか?
A. はい、その通りです。ご自身の口臭には気づきにくい方がほとんどです。これには「嗅覚の順応」という、鼻の働きが関係しています。私たちの嗅覚は、生命の危険などを察知するために、新しい匂いには敏感に反応しますが、常に存在する匂いには次第に慣れてしまう性質があります。自分の口の中から常に発せられている匂いは、脳が「日常的な匂い」として認識し、意識しなくなるのです。コップや袋に息を吐きかけて嗅いでみる、といったセルフチェック方法もありますが、客観的な判断は難しいでしょう。そのため、信頼できるご家族に確認してもらったり、歯科医院に設置されている「口臭測定器」で客観的な数値を測定したりすることが、ご自身の口臭の有無や程度を正確に知るための最も確かな方法と言えます。
マスクなしでも自信の持てる毎日へ。 本当の爽やかな息吹を手に入れる
原因治療で得られる、口臭の悩みからの解放
これまで口臭が治らないと悩み、タブレットやマウスウォッシュでその場しのぎの対策を続けてきた方もいらっしゃるかもしれません。改善には、原因に合わせた治療と日々のケアを組み合わせることが有効です。病的口臭の最大の原因である歯周病などを適切に治療することで、臭いの元そのものをなくすことが可能です。それは、常に口臭を気にして会話中に口元を隠したり、人と距離を取ったりするような、長年の不安やコンプレックスからの解放を意味します。治療とケアの継続により口臭が改善すると、日常の不安が軽減されることが期待できます。
お口の健康が、コミュニケーションの自信につながる
口臭の悩みから解放されることで得られる最大のものは、他者とのコミュニケーションにおける自信です。相手の反応を気にすることなく、自然な笑顔で会話を楽しむことができる。会議でのプレゼンテーションや、大切な人との親密な語らいの場でも、堂々と振る舞うことができる。お口の健康は、このように私たちの社会生活や人間関係の質に深く関わっています。口臭がないという安心感は、あなたの内面からの自信を引き出し、より積極的で豊かなコミュニケーションを可能にします。健康的で清潔なお口は、円滑な人間関係を築くための、目には見えない大切な資産なのです。
良好な状態を維持するための、定期メンテナンスという投資
歯科医院での専門的な治療によって口臭の原因がなくなり、良好な状態を取り戻した後、その健康を維持していくことが何よりも重要です。治療によって改善した歯周病も、日々のケアを怠れば再発のリスクがあります。そこで大切になるのが、定期的なプロフェッショナルケア、すなわち「メンテナンス」です。数ヶ月に一度、歯科医院で専門的なクリーニングを受け、お口の状態をチェックすることで、セルフケアでは除去しきれない汚れを取り除き、問題の再発を未然に防ぎます。これは、未来のお口の健康、そしてコミュニケーションへの自信を守るための「投資」と言えるでしょう。この良い循環を作ることが、口臭の悩みを長期的に改善し、再発を予防するための大切なステップです。
まとめ:治らない口臭は、体が発する重要な健康のサイン
口臭はエチケットの問題だけではなく、病気のサインです
口臭は、単なるエチケットや身だしなみの問題として捉えられがちですが、その本質はもっと深刻な場合があります。特に、丁寧なセルフケアを続けても改善しない持続的な口臭は、お口の中や、稀に全身のどこかに潜む「病気のサイン」である可能性が極めて高いのです。その代表格が、自覚症状なく進行することも多い歯周病です。歯周病菌が放つ不快な臭いは、病状が悪化していることを示す警告と捉えるべきです。口臭という現象を、「恥ずかしいもの」から「健康状態を知らせる重要なバロメーター」へと認識を変えることが、根本的な解決への第一歩となります。
セルフケアで改善しないなら、専門家による原因特定が肝心
毎日丁寧に歯を磨き、マウスウォッシュを使っても口臭が治らない。そう感じているなら、それはあなたの努力が足りないわけでは決してありません。原因が、歯ブラシの届かない歯周ポケットの奥深くや、ご自身では気づけない他の場所にあるため、セルフケアだけでは改善に限界があるのです。このような状況で最も重要なのは、闇雲にケアを続けることではなく、一度立ち止まり、専門家である歯科医師に「原因を特定してもらう」ことです。なぜ臭いが発生しているのか、その根本原因さえ分かれば、治療への道筋は明確になります。自己判断での悩みは、ここで終わりにして、専門家の客観的な視点と診断に委ねてみませんか。
あなたの悩みに寄り添う、口臭カウンセリングという選択肢
「口臭の悩みを歯医者で話すのは、なんだか気恥ずかしい」。そう感じて、受診をためらっている方もいらっしゃるかもしれません。そのような方のために、多くの歯科医院では「口臭カウンセリング」の時間を設けています。これは、すぐに治療を始めるのではなく、まずは患者様が抱えるお悩みや不安、これまでの経緯などを、プライバシーの守られた空間でじっくりとお伺いする場です。専門家があなたの気持ちに寄り添い、一緒に原因を探っていくことで、心の負担も軽くなるはずです。一人で抱え込まず、まずは「話を聞いてもらう」という選択肢があることを、ぜひ知ってください。その一歩が、解決への大きな前進となります。
汐留駅から徒歩5分の歯医者・歯科
患者様の声に耳を傾ける専門の歯科クリニック
監修:《 オリオン歯科 NBFコモディオ汐留クリニック 》
住所:東京都港区東新橋2丁目14−1 コモディオ汐留 1F
電話番号 ☎:03-3432-4618
*監修者
オリオン歯科 NBFコモディオ汐留クリニック東京
ドクター 櫻田 雅彦
*出身大学
神奈川歯科大学
*略歴
・1993年 神奈川歯科大学 歯学部卒
日本大学歯学部大学院博士課程修了 歯学博士
・1997年 オリオン歯科医院開院
・2004年 TFTビル オリオンデンタルオフィス開院
・2005年 オリオン歯科 イオン鎌ヶ谷クリニック開院
・2012年 オリオン歯科 飯田橋ファーストビルクリニック開院
・2012年 オリオン歯科 NBFコモディオ汐留クリニック開院
・2015年 オリオン歯科 アトラスブランズタワー三河島クリニック 開院
*略歴
・インディアナ大学 JIP-IU 客員教授
・コロンビア大学歯学部インプラント科 客員教授
・コロンビア大学附属病院インプラントセンター 顧問
・ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医
・アジア太平洋地区副会長
・AIAI(国際口腔インプラント学会)指導医
・UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)インプラントアソシエーションジャパン 理事
・AO(アメリカインプラント学会)インターナショナルメンバー
・AAP(アメリカ歯周病学会)インターナショナルメンバー
・BIOMET 3i インプラントメンター(講師) エクセレントDr.賞受賞
・BioHorizons インプラントメンター(講師)
・日本歯科医師会
・日本口腔インプラント学会
・日本歯周病学会
・日本臨床歯周病学会 認定医
・ICD 国際歯科学士会日本部会 フェロー
・JAID(Japanese Academy for International Dentistry) 常任理事