コラム

2014.10.09

舌の位置

こんにちは。歯科医師の南です。

 

 

食べ物を噛むとき、ゴックンと飲み込むとき、おしゃべりする時など、舌は毎日大活躍しています。

しかしそのかわりに私たちは、舌の動きをほとんど意識していません。

まして舌が普段どこにあるのか、意識する機会はなかなかありません。

 

じつは舌には、きちんとおさまるべき定位置があります。

定位置にきちんとおさまることができるか、それとも定位置に控えることができずにさがってしまい、歯並びに悪い影響を与えるか、その違いは、舌の筋肉が十分に発達しているかどうかにかかっています。

 

それではあらためて、舌の位置とは本来どこなのか確認していきましょう。

 

まず、くちびるを軽く閉じてリラックスします。

このとき舌はどこにありますか?

舌全体が上あごの天井にピタッと付き、舌の先は上の前歯に触れないか、あるいは触れたとしても前歯の根元に軽く触れるくらい。

これが舌本来の定位置です。

 

 

筋力不足で舌がさがって姿勢が悪くなっている状態を「舌癖」と呼びます。

そして、舌癖のある人は「開咬」という不成咬合になりやすいのです。

 

テレビを見ているとき口をポカンと開けてしまう、真面目な顔をすると口元がへの字になってしまう、飲み込む時に口元にギュッと力を入れないと飲み込めない、こうしたお子さんにありがちな筋力不足タイプの舌癖は、簡単な舌やくちびるの筋トレを続ければ改善ができることがあります。

 

なかには舌へ記を治そうとしても、小さな頃から染み付いていて、なかなかやめられないケース、舌の裏のスジ=舌小帯が張っていて舌を持ち上げたくても動かないケース、また、慢性鼻炎のために口呼吸をせざるをえず、結果的に舌が下がってしまい舌癖から抜け出せないケースなど、歯科だけでは治療ができない難症例もあります。

 

しかし、お子さん自身が問題を自覚し、歯科医院のスタッフと親御さんが協力し合い、舌やくちびるの筋トレを続けて舌癖を克服できると、トレーニング以外に特別な処置をしなくても驚くほどきれいに「開咬」が治ってしまうケースもたくさんあります。

逆に、矯正治療で歯並びを治しても、舌癖を克服できないがために後戻りするなど、思うような成果が出ないケースもたくさんあります。

 

筋力低下による舌癖がご心配でしたら、ぜひ舌の筋トレで舌癖を治しましょう。

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