こんにちは、歯科医師の南です。
前回に引き続き、「病的口臭」「心因的口臭」について話したいと思います。
「病的口臭」
口臭最大の要因とされるのが歯周病です。
歯ぐきの組織が破壊されて出血したり膿が出てくることは述べました。
このような壊れた組織や血球成分、死滅した細菌などのタンパク物質が臭いを発生させるのです。
軽度の歯肉炎の段階ではそれほど口臭は気になりませんが、歯周病に移行し、悪化すればするほど口臭は強くなります。
虫歯も口臭の原因になります。
これも歯周病と同様に、軽度の虫歯が一、二本あるぐらいの段階での口臭は微々たるものなのですが、炎症が神経まで達した段階や、冠などの被せものの内部で虫歯が進行している場合などは口臭が強くなることがあります。
また、口腔内とは別に体の病気が原因で口臭が発生する場合などもあります。
副鼻腔炎や慢性鼻炎などの耳鼻咽喉科系の疾患や糖尿病などに多く見られます。
よく「胃が悪い人は口臭が強い」と言われることがありますが、実はこのようなことはほとんどありません。
おおきなげっぷでもしない限り胃の中の空気が上に上がってくることはないのです。
糖尿病の患者さんから発生される臭いのもとは、アセトンという物質です。
アセトンは糖尿病に罹っていなくても尿や血液に存在しているのですが、糖尿になるとその量が増えてしまうため、口臭や体臭となって表れます。
また、糖尿病患者は歯周病に罹っている場合が多く、むしろそちらの方が原因の口臭の方がキツく感じられる場合が多いようです。
「心因的口臭」
歯がきれいに磨けていて、虫歯や歯周病もなく、他人から口臭があると指摘されるわけでもないのに「自分には口臭がある」と強く思い込んでいる患者さんが歯科を訪れることがあります。
相手の態度や動作から「口臭を感じている」と勝手に思い込んでしまうのです。
しかし、「生理的口臭」で説明したように、健康な人でも起床時や緊張時には口臭を発することもあるのです。
そのような時に人から口臭を指摘され、それがトラウマのようになっているのかもしれません。
口臭検査ができる歯科もあり、精密な検査を実施して数値で確認し「大丈夫ですよ」と納得してもらう方法もあります。
「一流の人の歯は、なぜ白いのか?」植木ゆかり先生著(http://www.amazon.co.jp/dp/4426118611/#immersive-view_1421303118965)より抜粋