コラム

2014.06.11

バイオフィルムとは?

こんにちは。歯科医師の南です。

 

バイオフィルムは、台所やお風呂のヌルヌルしたヌメリを想像して頂ければわかりやすいと思います。

これらは微生物の塊で、実に見事な仕掛けで出来上がっています。

まず、細菌が付着するとそこから細菌外多糖(EPS)という物質を出してバリアを作ります。

そこには一種類の細菌ではなく、性格や形の違うさまざまな細菌が集まってきて、共同住宅のような棲みやすい環境を作っていきます。

 

 

バイオフィルムの中には上下水道が整い、十分な栄養も補給できる仕掛けになっています。

さらに細菌の塊(コロニー)をおおう膜には、抗生剤をはねのけてしまう強い防御力もあります。

もっとすごいのは、この細菌の塊に棲む細菌たちは、生活密度を超えないようにお互いに信号を出し合って数を調整していることです。

この点が、細菌が集まっただけのプラークと若干異なる点です。

ですから、バイオフィルムの中の細菌の数は常に安定していて、地球上の人類の数が無制限に増加してゆくのとは大きな違いです。

そして、栄養や水分が増えれば、細菌の数も増やしていきます。

そういう意味では歯周ポケットの中は、まさにバイオフィルムにとって理想の環境です。

そして、宿主である人間が風邪をひくなど免疫力が低下すると、バイオフィルムは一気に毒性を発揮し、歯周病が悪化します。

 

 

ただ、バイオフィルムにも弱点があります。

それは超音波で膜が破壊されやすい、ということです。

歯科医院でよく使う超音波スケーラーは、正にバイオフィルムを破壊するにはもってこいの道具なのです。

家庭で使う超音波(音波)歯ブラシなども効果があります。

 

歯周病にならないためには、まずこのバイオフィルムを作らない口腔内を作ることが大切です。

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