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2015.03.30

「歯の汚れ」から「歯の病気」になるしくみを知る④

こんにちは、歯科医師の南です。

 

前回の続きとして…

 

◎「ムシ歯」

歯垢の中には無数の細菌が存在しますが、ムシ歯を招く菌がミュータンス菌(虫歯菌)です。

この菌が口の中の糖分を栄養源に酸を作り出し、酸が歯を徐々に溶かし、ムシ歯となります。

よくムシ歯で歯科にかかると、C1とかC2とかの言葉を歯科医が言うのを耳にしたことがあると思いますが、それをムシ歯の進行状態を表す語句で、C0からC4までの5段階となっています。

 

C0…歯の表面に白濁が表れている状態。

まだ痛みはなく、穴も開いていません。

フッ素や唾液の力でムシ歯を防ぐことのできる段階なので、正しいブラッシングによるケアで菌を除去できます。

 

C1…エナメル質内でムシ歯が発生しています。

まだ痛みはほとんどありませんが、黒くなっている箇所が見られます。

ごく早期の段階なので、一回の治療で防ぐことができます。

 

C2…神経とつながる象牙質までムシ歯が進行。

冷たいものや甘いものがしみます。

また、噛むとチクチクとしたシャープな痛みを感じます。

この段階まで到達すると進行のスピードが速まります。

治療時には麻酔が必要なこともあります。

ムシ歯になっている部分を完全に取り除き薬を詰めるという治療を行います。

 

C3…ムシ歯が歯髄腔(歯の中の神経と血管が入っている空間)まで到達している状態です。

冷たいものやあついものがしみ、常に痛みがあるようになります。

この段階では、歯髄腔内の菌をきれいに消毒して取り除き、根尖孔(根っこの先にある歯髄の出入り口)まで薬で完全にふさぎ、根っこの中と外を完全に遮断するという治療を行います。

これがいわゆる「根っこの治療」で、歯髄(歯の神経)が生きている場合と、すでに神経は死んでいて根管内(歯の中)に古くなった薬が入っている場合があり、両者は少し治療法が異なりますので、事前に医師から説明があるでしょう。

この段階で初めて歯科を訪れる人が多いのですが、一般的な内科の疾患で言えば、「すでに病魔に冒され、手術が必要」な状態と同じなのです。

歯科治療においても「早期発見」が重要ということがおわかりかと思います。

 

C4…歯の歯冠部分がほとんどなくなってしまって、歯根だけになってしまった状態です。

神経はすでに死んでしまっていて。細菌は口の中にいっぱいに増殖しています。

化膿して悪臭を放ったり、神経の先に炎症が広がり頬が腫れることもあります。

ここまでくると、治療はほぼ不可能です。

一日も早く歯を抜いて傷の治りを見て、歯がなくなった箇所で今後「どのように噛む」のかを検討しなければなりません。

 

「一流の人の歯は、なぜ白いのか?」植木ゆかり先生著http://www.amazon.co.jp/dp/4426118611/#immersive-view_1421303118965)より抜粋